2017年03月04日

連載 アーケードコントローラーを作ろう 第2回 材料を揃えよう

という訳で前回に引き続き第2回です。

今回はアケコンの作成に必要な材料・工具類を紹介します。



材料:筐体

今回筐体として使用するのはタカチのYM-300です。

アルミ製の200×300×50の箱で加工しやすく、またネジでしっかり閉めれるのでなかなか良さげです。

良くない点としては冬場に冷たくなることと、若干剛性が足りないことです。とは言っても剛性は普通に使用しているぶんにはたわみが気になることはないし、投げたり踏んづけたりしない限りは問題ないレベルです。


タカチ電機工業 YM-300 YM型薄型ケース

Amazonにもあるけれど、こっちの方がお安めです。2000円くらい。
通販だと送料がかかるので他の部品と一緒に買っちゃいましょう。
秋葉原とか日本橋の電子部品屋さんにはだいたい置いていると思うので近くに住んでる人は直接買いに行くといいんじゃないかな!


材料:操作部

HitBoxなので、操作部はボタンのみです。

各自の好みで好きに選択するとよいと思いますが、数が多く、モノによって単価が倍近く変わるところなのでお財布と相談して決めましょう。

今回は15個のボタンが必要になり、全部で2500〜4000円くらいになるはず。

日本橋だと千石電商が一番品揃えが豊富です。


選択肢としてはこんな感じ。

・メーカー

セイミツ工業or三和電子

・ボタンサイズ

本家HitBoxだと↑ボタンのみ30φ、その他14個は24φとなっています。

ですが個人的には穴開けを簡単にするために全部24φにしてしまうことをお勧めします。

・取り付け方式

はめ込み式orねじ込み式

はめ込み式のデメリットとして、穴のサイズが少しでも大きくなるとボタンが回ったり浮いたりします。

ねじ込み式のデメリットはネジのパーツ分だけ径が大きくなり、穴の中心間距離が28mm以上必要になります。寸法がギリギリだと穴の位置がズレたりした時にボタン同士が干渉する可能性があります。

・色

好みの問題なのですが、クリアタイプの色だと値段が上がります。あと各メーカー24φのボタンは色の選択肢がちょっと少なめです。

・静音タイプかどうか

24φボタンだと静音タイプはないみたいですね…

どうしても気になる人は自分でボタンの静音化してみましょう。方法はググれば出てくるので調べてね!

・高耐久スイッチかどうか

これも24φにはないみたいですね…

壊れたら取り換えればいいだけなのであまり気にしなくてもよさそう。どうしても心配なら予備品を用意しておくといいかもね。



材料:基盤

基盤の選択肢はいくつかありますが、とりあえず以下の要素は考慮する必要があります。

・ホスト機器は何か

コントローラーを繋ぐ先がPCかPS4か両方かそれ以外かで使用できる基盤が変わります。

・必要なボタン数を満たすか

PC専用の基盤の場合、接続可能なボタン数が足りない場合があります。

・上下左右の同時押し時の挙動

本家HitBoxでは以下の仕様になっています。

上下同時押し:上入力扱い

左右同時押し:左右どちらも押していない扱い

これを満たすのは現時点ではBrook製の基盤のみです。

(※Brook基盤でも、上下左右をアナログスティックとして使用する場合は上記の挙動になりません。POVに対応していないPCゲームをやる場合は要注意。非想天則とか。)

・配線の容易さ

配線にハンダ付けが必須かそうでないか。

ハンダ付けはやったことがない人にとってはハードルが高く感じられると思います。慣れればとても簡単なんですけどねー。

またその中でも穴に線を通してハンダ付けするのは比較的容易ですが、それに比べると基盤面の接点に直接ハンダ付けするのは安定性が悪く、失敗した時にパターンが剥がれて修復できなくなるとこがあるので難しくなります。


以上の点を踏まえて、お勧めがこちら。

Brook UNIVERSAL FIGHTING BOARD

PS4/XBox/PC/Wii Uに対応、とのこと。

配線がとても容易で、+ドライバー1本でビス留めのみで結線か可能です。

(注:今回作成するHitBoxのボタンはすべてビス留めで結線可能ですが、L3・R3・Turbo・タッチパッドボタン・LEDの接続にはハンダ付けが必要です。)

ただし大きな欠点がひとつ。値段が高いです。

通販で買うと送料込みで10000円程度します。

これもう市販のアケコン買ったほうが早自作って素敵ですよね!

1号機製作時に衝動的にポチってしまったので今回はこれを使うことにします。


REVIVE USB

PCのみ接続可能。

組立済のものが売っているのでハンダ付けの必要がありません。

送料込みでお値段4000円ちょっと。

自分でハンダ付けできるよって人はキットもあり、こちらは1000円ほどお安くなります。

組立済のものはヘッダーピンが付いていますが、キットを買って自分で組み立てる方は端子部をピンソケットにすることをお勧めします。

ヘッダーピン、ピンソケット共に配線はジャンパーワイヤーを差し込むだけでいけます。

欠点としては、接続できるボタン数が12個しかありません。

そのため、上下左右+右手8ボタンまでしか接続できず、スタートボタンを諦めるかボタンのレイアウト自体を変える必要があります。


-----ここから要ハンダ付け-----

Brook FIGHTING BOARD

対応機種やその他のボタン仕様は上記のUNIVERSAL FIGHTING BOARDと同じです。

違う点は接続にハンダ付けが必須なところ。

スルーホールのピッチが2mmなので要注意です。

ピンソケットを付けてジャンパーワイヤーで接続する場合、ハウジングを外した上で熱収縮チューブなどでピン同士が接触しないようにしましょう。

あとUSB端子もついていないので、端子を自分でつけるか、USBケーブルを加工して接続しましょう。

(ここに書いたことが何のことか分からなかった方は手を出さないほうがよいです。もあんまり理解してないのでうまく説明できません)

加工が手間ですが、UNIVERSAL FIGHTING BOARDよりお安いです。

2017/01現在Amazon.co.ukで28.57ポンド+送料5.95ポンド=34.52ポンド(約5000円)でした。

基盤がコンパクトで仕上がりも綺麗なので加工できる方にはお勧めです。

2号機はこの基盤を使って作成したのでそのうち記事を書く…かも?


ファイティングスティックmini4

PS4/PS3用のアケコンです。

(ツールを使えばPCでも使えるらしいですがよく知らないので自分で調べてください)

いわゆる基盤乗っ取りってやつですね、ハンダ付けが必須です。

上下左右+8ボタンはスルーホールへのハンダ付けでいけますが、スタート・セレクト・PSボタンは基盤面にハンダ付けする必要があります。

Amazonで3700円(2017/01現在)とお安め。

あまりお勧めはしませんが費用を抑えてPS4で使いたいって方は選択肢に入るかも。

正規コントローラーなのでPS4での動作が保証されてるところが最大のメリットだと思います。


-----ここから要プログラミング-----

ダ・ヴィンチ32U with Arduino Bootloader

特定の人以外にはまったくお勧めしません。

Arduino Leonaldo互換の小型基盤です。

ハンダ付けによる組み立てと、Arduino言語によるプログラミングが必要です。

REVIVE USBに比べて良いところとしては、ボタンが20個まで接続できることと、上下左右の同時押しの挙動を(プログラムで)制御可能なところです。

あと今回のお話とは関係ありませんが、こいつを使ってサタパのコンバータが作れます。

お値段がお安く、送料込みで2000円程度です。

日本橋の店舗にはもうどこにも置いていないので通販でしか買えないかも。


-----基盤紹介ここまで-----

あとそれぞれの基盤についてファームウェアの更新やら設定やら色々あるのですが長くなりすぎているのでそのうちまとめます。多分。そのうちね。



材料:配線

操作部⇔基盤⇔機器を繋ぐものです。

汎用性を高めるために、配線はコネクタで接続(=工具なしで抜き差し)できるようにします。


・ジャンパワイヤー

両端にコネクタのついた線材です。

オス-メスオス-オスを1つずつ買っておけば十分足ります。

ひと束40本のリボンになってますが、1本ずつ割いて使用できます。

これはAmazonの上のリンクのやつがびっくりするくらいお安くてお勧めです。

電子部品売ってるお店で1本20〜30円くらいしますので…もちろん質的な意味では結構違いますが、今回の用途では十分です。

注意点としては、中国からの発送らしいので注文してからしばらくかかりますので余裕を持って準備しましょう。


・ファストン端子(#110メス)

ボタンとの接続に使用します。

規格があって#110は大きさ、オス-メスは端子の形状となります。つまりボタン側に#110オス型の端子が付いてるってことですね。

(接続するボタン数×2)個必要となりますが、初めのうちは圧着に失敗することが何回か発生すると思いますので多めに用意しましょう。

今回は15ボタンで最低30個は必要となりますので、35〜40くらい用意しておけば多分大丈夫。

ホームセンターとかでも売ってて比較的どこでも買えますが、一応千石電商のリンクだけ貼っておきます。

だいたい1個10円くらい。まだあるかは分かりませんが、日本橋の共立電子に100個700円以下(正確な金額忘れました)で置いてました。


・より線

今回私はこんな感じのを使いましたが、細めのより線なら何でもいいです。

全部で1mくらいあれば十分なので、上に書いたジャンパワイヤーの余ったやつの両端を落として使用しても良いです。気分的に勿体無さはあるけどお安いからしょうがないよね。


・USBコネクタ

こんな感じのパネル取り付け型のコネクタ

必須ではないのだけれど、見た目が格好よいのと、あとケーブルを引っ張ってしまった際に基盤に直接力がかからなくなって色々と安全になるので付ける事を強く推奨します。

こいつの良いところは24Φの丸穴(ボタンと同じサイズ!)で取り付けができる事です。素敵。

上のリンクのサウンドハウスが一番安く買えるのだけれど、1500円未満だと送料かかってしまうので他のところで合わせて買えるならそっちの方がよいかも?


・USBケーブル

PC-筐体用の長めのAオス-Bオスケーブルと、筐体-基盤用の短いAオス-Bオスケーブルを1本ずつ。

高いケーブルを買っても入力精度に差は出ませんのでお好きなのをどうぞ。


・貼り付けボス

片面にナット、もう片面に両面テープを貼り付けた形のもので、基盤を筐体に固定するための部品です。

今回はこれ使いました。共立電子だとバラ売りしてるのですが千石電商だと10個組みしか置いてないみたい…

2つあれば事足りるので微妙なところ。




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工具類も書こうと思いますがとりあえず今日はここまで。


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2017年01月13日

連載 アーケードコントローラーを作ろう 第1回:計画を立てよう

はじめに

ここでは、PS4/PC向けのアーケードコントローラーの自作について書こうと思います。

先日作ったアケコンの作成手順の備忘録と、これからアケコンを作ってみたい方へ向けてこうしたら上手くいった、こうしたら失敗したなどのメモを書く予定をしています。


1回のタイトルは「計画を立てよう」です。

実際にアケコンを1台完成させてからこの記事を書き始めているのですが(追記:この記事を書く途中にもう1台作りました)、無計画に作り始めたため、部品が足りなかったり余ったりして余計な時間と費用がかかってしまったので。

計画は大事だよ、ということで…



何を作るの?

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こんな感じのHitBoxのようなアケコンを作ります。

詳細はHitBoxでググってもらえれば分かると思うのですが、簡単に説明するとレバースティックの代わりに上下左右のボタンがついたアケコンです。

私がアーケードゲームに慣れていなくてレバーがうまく扱えないというのと、あと単純に何か面白そうだからという理由でHitBoxにしました。

あとはレバーがなくて水平方向への動きがないので軽くしても問題ないというメリットがあります。



どうして自作するの?

自作のメリット

・ボタン配置を自由に決められる

・筐体をコンパクトにできる

・自分でメンテナンスできる

・(工具さえ持っていれば)市販品より安く作れる


デメリット

・作成するのに時間と手間がかかる

・(アルミの筐体を使うので)剛性が低め

・(アルミの筐体を使うので)冬場冷たくなる

・(工具類を一から揃えると)市販品買うのと同じくらい費用がかかる


まとめると本家HitBoxが無駄に大きかったのが何か嫌だったのと、工具持ってて安くできそうだったし何より暇だったんですねー多分。



アケコンの中ってどうなってるの?

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アケコンは次の4つのパーツに分けられます。

・操作部(ボタンやレバーなど)

・筐体(操作部の固定及び、基盤・配線の保護)

・基盤(操作部の入力を信号に変換する)

・配線(操作部⇔基盤⇔PC/PS4の接続)



作業の流れ

・計画を立てる

・材料、工具類を揃える

・筐体を加工する

・線材を加工する

・組み立てる



計画を立てよう

・何に使うのか

PCでのみ使用するか、PS4などのゲーム機で使用するのかによって組み込む基盤を考慮する必要があります。基盤については別の記事でまとめる予定です。


・ボタンの数は?どのボタンが必要?

今回は本家HitBoxに合わせて上下左右4ボタン、右手8ボタン、側面にSTARTSELECTPSボタンの3ボタンの計15ボタンにします。

基盤によって接続できるボタン数が異なるのでそれも考慮に入れましょう。


・筐体の大きさは?

今回は筐体に200×300×50(単位:mm)のアルミケースを使います。

一般的なアケコンに比べるとだいぶん小さく感じられると思います。実際持ち運びにも便利です。

私は手が平均よりもちょっとだけ大きめ程度ですが、このサイズで特に違和感なく操作できています。


・ボタンの位置は?

また本家HitBoxでは上ボタン(30φ)を除いてすべて24φのボタンを使用しています。

24φとはボタンの取り付け穴が直径24mmのことです。

また、ボタンのサイズは穴よりも一回り大きくなるので、24φボタンの各穴の中心間は28mm以上取る必要があります。

A4用紙(210×297mm)の上に10円玉(直径23.5mm)を並べてみると雰囲気が掴みやすいのではないかと思います。

(追記:アケコン1号機はこの方法で適当にボタンの位置を決めましたが結局配置が気に入らなかったため2号機を作りました。やり直しの効かないところになるので慎重に決めましょう)



疲れたおしまい

今日はここまで。第2回は「材料を揃えよう」を予定しています。

posted by ひびまと at 20:57| Comment(0) | 電子工作 | 更新情報をチェックする